倶知安駅(倶知安町)
くっちゃんえき
安藤食堂
羊蹄山の麓にある倶知安。町から蝦夷富士と呼ばれる美しい姿がよく見えるはずだが、あいにくの雨で今日はその姿を見ることはできない。すこし冷えた体を暖めようと、駅前の角に見つけた「安藤食堂」に駆け込むとラーメンを頼んだ。
おばちゃんが出してくれたラーメンはほうれん草となるとののった昔風のラーメンだった。スープは甘みを感じ、どこか優しくそして懐かしい。
昔からのラーメンですかと尋ねてみた。昔と言うほどではないけどとこの食堂の話を聞かせてくれた。食堂になる前は旅館をやっていた。そのもっと前の戦前にはハイヤー会社をやっていたのだと言う。創業当時は木炭車から始まり、外車のハイヤーを導入するなど、事業は波にのった。バイオリンを弾き、音楽好きが高じてダンスホールを作るなどハイカラなお父さんだった。そこで育った安藤公子さんとそのお姉さんはやがて始めた旅館業と、今の食堂を切り盛りした。スキー客や登山のお客さんも多かったが、公子さん曰く「美人のお姉さん」目当てに国鉄の人もたくさん来たよと話してくれた。
三年前にはご主人を亡くし、自身も病気のため去年は店を閉じていたが「駅前の食堂ののれんが上がっていないのは駄目」と言われるのが嫌だと、膝の痛みを押して厨房に立つ。「母さん元気かい?」と馴染みのお客さんが顔を出してくれるのが何より励みになると言う。
今はお嫁にいった娘さんの東條亜希子さんと一緒に駅前食堂を切り盛りする。はにかむ二人を説得して一枚、写真を撮らせてもらった。
倶知安駅は「国鉄の駅」だった。その当時の雰囲気を残す食堂で親子2代のツーショット。この写真はお店に飾ってくれている。
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倶知安駅は函館本線(山線)の長万部と小樽のほぼ中間にある。峠越えに臨む機関車の水や石炭の補給を行うため、多くの国鉄マンが働いていた。また倶知安は北海道有数の豪雪地帯でもある。